楽器と音楽のまち・浜松市(静岡県)にて、3年に一度開催している浜松国際ピアノコンクール。浜松市制80周年を記念した第1回大会(1991年)の開催からすでに四半世紀の歳月が流れ、高度な力量が求められる非常にレベルの高いピアノコンクールとしての評価も定着し、今や世界の主要なコンクールの一つとなっている。輩出した入賞者には、上原彩子(第4回2位、’02年チャイコフスキー国際コンクール第1位)、ラファウ・ブレハッチ(第5回最高位、’05年ショパン国際ピアノコンクール第1位)やチョ・ソンジン(第7回優勝、’15年ショパン国際ピアノコンクール第1位)等、現在活躍中のピアニストが多い。今回のリサイタルは、奨励賞の三浦謙司、第1位および聴衆賞を受賞したアレクサンデル・ガジェヴによるものとなる。

三浦謙司
1993年生まれ。3歳からピアノを始める。2006年、13歳で英国政府より奨学金を獲得し、同年、パーセル・スクール(ロンドン)に入学。ロシャン・マガブやウィリアム・フォンのもとでピアノを学ぶ。日本及び英国での演奏やコンクール出場を重ね、10歳で第23回来音会ピアノコンクールにて優勝。2009年、ドイツのワイマールで開催された、“若いピアニストのためのフランツ・リスト国際ピアノコンクール”でファイナリストに選出される。これまでに、イギリスのウィグモア・ホール、クイーン・エリザベスホール、パーセル・ホール、王立ノーザン音楽大学をはじめ、リーズ音楽大学やスタインウェイ・ホール等数多くの場所でソロ演奏、室内楽演奏及びオーケストラとの協演を行う。また、日本国内での定期演奏はもとより、ドイツ、ドバイ、カナダにてリサイタルを開催。ナッシュアンサンブルをはじめ、世界中の多くのプロアーティストとの協演を重ねる。ロンドンの王立音楽アカデミー、ベルリン芸術大学、カーティス音楽院のオーディションにすべて合格。ベルリン芸術大学にてクラウス・ヘルヴィッヒに師事。2014年3月から、ハンス・アイスラー音楽大学(ベルリン)に進学、エルダー・ネボルシンに師事している。現在、ユーディ・メニューインが創設したLive Music Nowの所属アーティストとして、ドイツを中心にThe Langley Duo(ヴィオラはルーク・タレルが担当)として定期的に演奏を行っている。

アレクサンデル・ガジェヴ (イタリア/スロベニア)
1994年、イタリア・ゴリツィア市に生まれ、音楽家である両親の指導の下5歳からピアノを始める。各地のユースコンクールで優勝を重ね、若干9歳でオーケストラと協演したハイドンのピアノ協奏曲ハ長調の演奏は伊マスコミの絶賛を浴びた。10歳で初リサイタルを行う。2005年以降、イタリアとスロベニアにてソロリサイタルやオーケストラとの協演を行う。 2012年4月、第1回FVG国際ピアノコンクール3位入賞、また6月には第9回プレミオ・デッレ・アルティ(トリエステ)において、審査委員満場一致で優勝を果たす。同年、ブルーノ・マデルノ音楽院(チェゼーナ)を首席で卒業。2013年秋よりザルツブルク・モーツァルテウム大学修士課程にてP.ギリロフに師事。11月には、首席卒業生のみが参加できる第30回ヴェネツィア・プレミア・ピアノコンクールにて優勝。2014年6月、ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクールのセミ・ファイナリストに、また同年8月には、第60回F.ブゾーニ国際ピアノコンクールのファイナリストに選出される。2015年、ヴェネチアのフェニーチェ歌劇場にて、ユーリ・テミルカーノフとショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番を協演。またリュブリャナ・フィルハーモニー大ホールにてデビューコンサートを開催。2015年、海老彰子、M. アルゲリッチ、S. ババヤン、P. ネルセシアン等が審査委員に名を連ねた第9回浜松国際ピアノコンクールにて優勝及び聴衆賞を弱冠20歳で受賞。海老審査委員長は「20歳ながら非常に円熟した音楽を聴かせ、アルゲリッチら審査委員を驚かせた堂々の第一位」と称した。

 

【曲目】

三浦謙司
ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
ショパン マズルカ op.33 no.2, op.50 no.2
ショパン バラード1一4番

アレクサンデル・ガジェヴ
リスト ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」
シューマン クライスレリアーナ
ラヴェル ラ・ヴァルス