紀伊半島に位置し、中世から日本を代表する巡礼地、熊野。現実と非現実、身体と精神、神聖と穢 れが混沌と共存するこの土地からインスピレーションを得て、向井山朋子はこれまでにも幾度か作 品を発表してきた。 映画人レニエ・ファン・ブルムレンと協働し、熊野で撮影した映像、ピアノ楽曲と自然音と電子音が 交差する音世界、リアルタイムのコンサートと映像の投影を重ねる方法で、現実と架空のあわいの 視覚化を試みる。 ジェンダー、生と死が通奏低音となり、向井山の幼少の頃の記憶を映像で追体験しながら、極私的な視点で熊野の世界を再構築する。 

 

楽曲 

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ:オルガン・ソナタ 第4番2楽章 BWV528 (ストラダル編曲) 

マキシム・シャリガン:前奏曲第1&4番 (2005) 

クロード・ヴィヴィエ:Shiraz(シラーズ)(1977) 

モーリス・ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調 第2楽章 Adagio assai (1931) 

向井山朋子:After Rameau No.1 (2021)Yellow (2021) 



向井山朋子(ピアニスト/美術家/アートディレクター)

オランダ、アムステルダム在住のピアニスト/美術家。1991年国際ガウデアムス演奏家コンクールに日本人ピアニストとして初めて優勝、村松賞受賞。アンサンブル・モデルン、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、ロンドンシンフォニッタ、ロイヤルコンセルトヘボウなどに毎年ソリストとして招聘され、新作の初演に携わる。また、近年は従来の形式にとらわれない舞台芸術やインスタレーション作品を発表。向井山の関心は一貫して、音楽が演奏される空間 とそれに関わる人間(演奏者、観客)が音楽をどのように受け止め、またその空間を知覚するかにある。日本とオランダ、自身のあるいは他者の身体性、セクシャリティ、演奏と記憶、などをテーマに異なるテーマを横断し侵犯しながら共存をめざす作品の演奏・制作を続けている。2007年、向井山朋子ファンデーションをオランダに設立、2015年には日本で一般社団法人◯+(マルタス)を設立し、プロデュースの分野でも活躍。音楽のみならず美術、建築、ファッション、ダンス、写真など幅広い分野とのコラボレーションで独創性を発揮している。https://multus.tomoko.nl/


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コンセプト:向井山朋子ピアノ・ナレーション:向井山朋子
像・インスタレーション・照明:Reinier van Brummelen、向井山朋子
テクニカルディレクター:遠藤豊 (LUFTZUG)
音響スタッフ:堤田祐史
映像スタッフ:Neda Gueorguieva
照明スタッフ:Frank van Schie, Xenia Filimonova
プロダクションマネージャー:眞鍋弥生

 

製作:向井山朋子ファンデーション、
共同製作:一般社団法人マルタス、愛知県芸術劇場
助成:オランダ舞台芸術財団