ノーベル文学賞の有力候補にも目された国際的な作家・安部公房(1924-1993)。生誕 100 年を迎える 2024 年 3 月、安部公房のかかわる映画作品9作品を一挙上映します。安部公房が脚本を務めた勅使河原宏監督 『砂の女』『他人の顔』『おとし穴』や短編作品、小林正樹監督『壁あつき部屋』をはじめ、ベルリン映画祭2024で特別上映が組まれたばかりの石井岳龍監督『箱男』のフランスプレミア上映も実現。また、四半世紀ぶりに上映が組まれた安部公房スタジオによる戯曲『仔象は死んだ』の映像作品も。安部公房の描く不条理な世界に浸るための一週間です。


「シナリオを書くときの安部さんを見たことがある。せりふを全て自分の口でぶつぶつと繰り返し、体を動かして、その言葉を役者が体でこなせるかどうかアクションで検証し、納得した上で書き進めていくのだ。抽象的な概念をごく日常的な言葉に置き換えながら、肉体的、生理的に肉付けしてアクションと一体化させる。(…)彼[安部公房]はリアリズムというものの本質を正しく理解していたのである。」― 勅使河原宏(読売新聞夕刊 1993年2月3日号より)