1923年に東京を荒廃させた大震災により、東京はその過去と決別することとなった。震災によって都市の近代化が加速する中、アメリカの消費文化の影響を受けた新しい日常の生活習慣が都市に生まれるきっかけとなった。いわゆる「モダン」あるいは「ジャパニーズ・モダニズム」と言われるものである。ストラスブール大学のサンドラ・シャール教授は、反デモクラシー的な時代が訪れようとしていた当時、首都の日常生活に浸透した新しい習俗と、それが女性に与えた影響について考察する。



1923年に東京を荒廃させた大震災により、東京はその過去と決別することとなった。都市の近代化は加速され、都市の容貌を大きく変えることとなる。近代都市の熱狂は浅草から銀座に移り、、銀座では多くの百貨店や洋風のカフェが開店し、消費文化とモードの殿堂となった。しかし震災は何よりも、「モダン」(日本のモダニズム)という概念を都市に導入するきっかけとなったと言えるだろう。


「モダン」は芸術、建築、文学、哲学にその足跡を残した。しかし何よりも、今この瞬間を謳歌することに重きを置き、、アメリカの消費文化やアメリカ的な生活様式からインスピレーションを受けた、前衛的な考え方や新しい日常の習慣に具現化された。それは新興の中産階級の日常生活に浸透し、マスメディアによってより広く普及した。


ストラスブール大学のサンドラ・シャール教授は、震災による社会変動を振り返りつつ、反デモクラシー的な時代の空気にも関わらず、首都における新たな風俗の特徴やその女性への影響を取り上げる。また、当時の風刺画を紹介しながら、特に20年代を象徴する人物像、日本のモガやギャルソンヌ(一次世界大戦後に生まれた新しい女性像)に焦点を当てる。